みなさんは子どもの頃にどんな絵本を読みましたか?
職務的にも絶対に避けては通れないコンテンツの絵本。
僕自身とても思い入れのある作品があったので
子どもたちに読み聞かせるときにも反応を見ながら
その世界観にどっぷり入り込めるように読んでいました。
今回ご紹介する作品は林明子さんの
【こんとあき】をご紹介します
こんとあき
林明子さんと言えば絵本作家の中でも著名な方で
『はじめてのおつかい(作:筒井頼子)』や『くつくつあるけ』
『おふろだいすき(作:松岡享子)』は読んだ、見たことのある人も多いのではないでしょうか
その温かみのある色の絵は心がとてもほっこりします
物語は表紙にいる女の子のあきが生まれたところから始まります
あきが生まれるその前からきつねのぬいぐるみのこんは
生まれてくるのをいまかいまかと待ちわびます
生まれてきたあきにお兄さんなところを発揮するこん
いつも一緒の二人はついにこんの背丈をあきが追い抜いてしまうほどの年月が経ちます
ぬいぐるみのこんはいたる所が傷み始め
こんを作ってくれたあきのおばあちゃんのところへ
二人だけで大冒険することにします
道中の汽車のなかでもこんはとっても頼りになり、
昔のお兄さんをしていた姿が思い返されます
駅弁を買いに外に出たこんとまつあき
いつまでもかえってこないこんを心配するあき
ついに不安から泣き出してしまうあき
その様子を見た車掌さんが話を聞くとこんを汽車のドアのところで見たとのこと
どうやらしっぽを挟まれて動けなくなってしまっていたようです
せっかくの温かいお弁当をその場で食べるふたり
その様子をみて車掌さんに話しかけられた時なんて
いけないことをしてるようで見ているこちらがドキドキしてしまいます
目的の駅着いて鳥取砂丘までふたりはやってきます
そこで事件が起きます
なんとふたりは野犬に襲われてしまうのです
あきをかばって犬に連れていかれてしまうこん
あたりが暗くなり始める中こんを呼ぶあき
か細い声で反応するこんを砂の中から見つけ出すあき
犬に乱暴にされたためにすっかりボロボロな姿になってしまったこん
弱弱しいこんをおぶっておばあちゃんのところに向かうあき
すっかり暗くなってもふたりが来ないのでおばあちゃんも近くまで探しに来てくれたので
無事おばあちゃんのうちに帰ってくることができます
そこからはこんを直してくれるおばあちゃん
でも汽車のドアにはさまれたしっぽはぺっちゃんこのまま
おばあちゃんは「おふろにはいれば元どおり」とふたりをお風呂に誘います
が、その言葉を聞いたこんは嫌がって逃げ出します
いままで一度もそんな描写はなかったのですがここでお風呂嫌いがわかるんですね(笑)
ぬいぐるみだからそりゃそうかと大人になった今ならそう思えますが
子どものころは「自分も同じ!」と共感する時期がありましたね
おばあちゃんに捕まって3人で一緒にお風呂に入り
すっかりしっぽも元通りのふっくらした立派な姿に戻ります
お風呂にはいったあとに身体を拭くこんの姿のかわいらしさは
大人になった今見ればその愛らしさがたまらないんです!
魅力がたくさんの絵本
前述ですべて語ってしまっていますが改めて深堀していきましょう
まず生まれた時から人の兄弟ではなく愛らしいぬいぐるみが
年長者としてお世話してくれるというところも他に見ない作風ですよね
あきが生まれる前に用意されたゆりかごのそばで待つ
こんが楽しみにしている姿も
あきがゆりかごに入って寝ている姿をみて驚くこんも可愛いんです
あきが小さいときにはいっぱい面倒を見てくれてよだれだらけになってしまっています
赤ちゃんのお世話する上では避けては通れないところですね
その後も赤ちゃん特有の暴虐さでこんを扱うあきの姿も可愛いんです!
こんを直してもらうために汽車に乗るんですが
一般的な二人掛けの席に小さな子どもときつねのぬいぐるみが座るには
あまりにも大きく見えてしまうんですが
こんが率先して動いてくれるのでとっても頼りになるから
そんな心配もまったくなく見れるんですよね
そんなこんが戻ってとなるとみているこちらまで不安になりますが
車掌さんがやさしく対応してくれたおかげですぐに解消されます
駅に着いたあとに案内看板を見てみたことのない砂丘に興味がわくあき
そうなんです、あきが砂丘に興味を持ったからのちの悲劇がと思うと
こんが犬に連れていかれた時の罪悪感たるや半端じゃないですよね…
砂の中に埋められたこんが「だいじょうぶ、だいじょうぶ」としかしゃべらない様子は
壊れたおもちゃを思わせ
不安と悲壮感を強く感じさせます
その後、無事会えたおばあちゃんの体型も安心感与えてくれますよね!
3人で一緒にお風呂に入る姿も林さんの温かな絵とマッチしていて
本当に気持ちよさそうなんです!
こんにお風呂の感想を聞くんですが「砂の中よりずっといい」というごもっともな感想が
これまたさっきまでの不安を吹き飛ばしてくれます!
お風呂上がりのこんが身体を拭いている姿があるんですが
しっかりふっくら元に戻ったしっぽが描かれてて
本当によかったなぁという気持ちになるわけですね!
ほぼほぼ前述したことの補足でしかないですが
僕のこの文章よりも絵本で読んでもらえれば
どれだけその情景の温かみや不安を掻き立てられるかわかってもらえると思います!
さいごに
子どものころに本当に何度も読んだ作品です!
中学生の頃にも懐かしい気持ちで読み、また思い出し好きになり
大学の授業でもこの作品を他の同級生が紹介しているのを見て
「わかってるなぁ」と声には出さずに頷いていました。
いろんな作品、表現が増えた現代の絵本業界ですが
名作はやはり名作でいつ読んでも心にくるものがあり
思い出という補正も入るかと思いますが
それを大人になった今
子どもたちに読み聞かせることで
またその子どもの誰かが次へと連綿していくことが
元保育士としては作者でも何でもないですが嬉しいことですねw
オタクでいうところの布教にも近い感覚だと思いますw
そんな感じでちょっと今回はいつもと違った感じにはなりますが
こんとあき を紹介させていただきました
ではでは( ゚д゚)ノシ サラバジャー