作品情報
作品名 | 寄生獣 |
作者 | 岩明 均 |
掲載誌 | 月刊アフタヌーン |
単行本 | 全10巻 |
地球上の誰かがふと思った 『人類の数が半分になったら いくつの森が焼かれずにすむだろうか……』 地球上の誰かがふと思った 『人間の数が100分の1になったら たれ流される毒も100分の1になるだろうか……』 誰かが ふと思った 『生物(みんな)の未来を守らねば……………』 突如飛来した寄生生物たち。彼らは人間の身体に侵入し脳を乗っ取り、他の人間を食い殺し始める。高校生・泉新一の身体にも寄生生物が侵入するが、脳の乗っ取りに失敗し彼の右手に宿ってしまう。自ら「ミギー」と名乗った寄生生物は新一と奇妙な共存関係になる。そんなイレギュラーな存在となった新一とミギーは寄生生物たちとの壮絶な戦いに身を投じる!
アフタヌーン公式サイトより引用
単なるパニックホラー漫画と思う事なかれ!!
寄生生物が頭部を変形させ、バリボリ人間を捕食するシーンが最序盤から展開されたり、度々衝撃的な描写が多い本作。部分的に見ると、パニックホラー色が極めて高いです。
しかし、この作品には「人間」と「動物や植物」の関係性を問いかける哲学的なテーマも含まれています。
「寄生生物は必要な分捕食し、その対象が人間なだけ。人間は多種多様な生物に虐殺の限りを行う。人間こそ悪魔では?」「死んだ犬は犬じゃない。イヌの形をした肉だ」「私は何のためにこの世に生まれてきたのか・・・」など、「生物」とは何か、生きるとは何か。を読者に問いかけてくるような描写のオンパレードです。
読者の感情をかき乱すドラマ
「人間」という生物の矛盾に満ちた生態を「寄生生物」が俯瞰して語る場面が多い本作。しかし、人間を理解しようと試行錯誤したり、自己の損得を超えて利他的な行動を取る「寄生生物」も登場します。
それに対し「人間」にも、寄生生物に加担したり、サイコなシリアルキラーが登場します。複数の「種族」の、それぞれの「個体」の思惑が作り出すドラマには、単なるホラー漫画では味わえない喜怒哀楽を体感できます。
パニックホラー作品としても一級品!!
内容の深さについて延々と語りましたが、パニックホラーとしてのクオリティも非常に高いです。本作のリアル寄りな作画故に、描写が細かくグロテスクな表現が頻発します。グロテスクな描写が苦手な人には読むハードルが少し高いかもしれません。
余談ですが、筆者が本作初見の小学生の頃、学校での虐殺シーンが怖すぎて何日か読むのを辞めてました。そのトラウマもあってか、授業中は教室からの逃走ルートの妄想も止まりませんでしたね。罪深い作品です。
「寄生獣」の意味
本作のタイトル「寄生獣」という言葉。一見すると、寄生生物であるミギー達を意味する言葉ですが、本作を読み進めれば読み進めるほど、他の意味に捉えさせられます。
この深すぎるタイトル回収には唸らされる事間違いなしです!詳細は語りません!手にとって、予備知識無しで衝撃を受けてください。
さいごに
グロ描写も多く、好き嫌いは分かれますが、それでも読んで損をする事はまず無い。と断言できるレベルの本作。まだ未読の方は、漫画好き課程の義務教育だと思って一度読んでみてください。
それではまた!!