アの9の場合
スイッチを押すとき 著者:山田 悠介
あらすじ
青少年自殺抑制プロジェクトセンターで、監視員として勤務する南洋平。ここでは、4人の少年少女に、自らの命を絶つ【赤いスイッチ】を持たせ、実験をしていた。極限状態で軟禁され、孤独に耐えられず次々と命を絶つはずが、この4人は“7年間もスイッチを押さない”という異例の子供だったのだ。彼らが生きたいと願うその理由を聞き、南たちは脱出を図るが、そこには非情な運命が待ちうけており――!?
Amazonより引用
おすすめポイント
筆者も夏休みの読書感想文で書いた事がある作品です。ネット上では文の稚拙さを揶揄されていたりしますが、読んでいて気になった事はありませんでしたね。(問題部分だけ切り取ってみると変なところはありますが)
そんなことより、著者の山田悠介氏は、設定の奇抜さや、オチのどんでん返しが本当に上手な方で、彼の著書は導入からオチまで一気に読める作品が多く、普段活字の本を読まない方には特にオススメです。
「スイッチを押すとき」はサスペンス作品ですが、ハラハラだけでなく、感動も味わえ、最後にしんみりもできてしまいます。次から次へと感情を動かされるので、読むのはもちろん、感想文を書くのも苦労しないと思いますよ。
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死神の精度 著者:伊坂 幸太郎
あらすじ
1、CDショップに入りびたり、 2、苗字が町や市の名前であり、 3、受け答えが微妙にずれていて、 4、素手で他人に触ろうとしない。 ――そんな人物が身近に現れたら、それは死神かもしれません。1週間の調査ののち、その人間の死に〈可〉の判断をくだせば、翌8日目には死が実行される。クールでどこか奇妙な死神・千葉が出会う6つの人生。
Amazonより引用
おすすめポイント
死ぬ運命の人と、その死を見定める死神との一週間を描いた作品。1位の「スイッチを押すとき」と比べて重たい雰囲気ではなく、死を目前にした人の生き様を見て、爽やかさや温かみを感じることのできる作品となっています。
また、人の死を通して、自分の人生の生き方や、命について深く考えさせられる作品となっております。
伊坂幸太郎氏の作品は、小難しいというか、遠回しな表現が少なく、本当にスラスラっと読める作品が多いです。こちらもまた、普段活字の本を読まない方にオススメの作品ですね。
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死のロングウォーク 著者:スティーブン・キング
あらすじ
近未来のアメリカ。そこでは選抜された十四歳から十六歳までの少年100人を集めて毎年五月に〈ロングウォーク〉という競技が行われていた。アメリカ・カナダの国境から出発し、コース上をただひたすら南へ歩くだけという単純な競技だ。だが、歩行速度が時速四マイル以下になると警告を受け、一時間に三回以上警告を受けると射殺される。この競技にはゴールはない。最後の一人になるまで、つまり九九人が殺されるまで、昼も夜もなく競技はつづくのだ。体力と精神力の限界と闘いながら、少年たちは一人また一人と脱落し、射殺されていく。彼らは歩きながら、境遇を語り、冗談を交わし、おたがいを励ましあう。この絶望的な極限状況で最後まで生き残るのははたして誰なのか―
Amazonより引用
おすすめポイント
「モダンホラーの帝王」と名高い、スティーブン・キング氏の作品。他のキング作品では、「IT」や「ミザリー」「シャイニング」など、実写映画でも知名度の高い作品を多く産み出しています。
本作は、たくさんの人がめっちゃ歩き続けるだけ(死ぬまで)となりますが、苦痛にまみれた歩行の描写や、デスゲームの中で育まれる登場人物たちの愛憎模様が心にグサグサ刺さります。
ちなみに、「中学生同士の殺しあい」でお馴染みの作品「バトルロワイヤル」にかなりの影響を与えた作品とも言われています。
デスゲーム系の作品の元祖と言っても過言では無い作品ですので、この作品を語れるとちょっとドヤ顔もできる。という思わぬ特典もあったりします。
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まめ。の場合
※基本的に映画化された作品になります。
告白 著者:湊かなえ
あらすじ
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」 我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。 語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。 衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞した国民的ベストセラー。 2022年10月、文庫単独で300万部を突破した記念に、お互いをリスペクトする関係性の『呪術廻戦』芥見下々による期間限定描き下ろし幅広帯バージョンを発売中。
Amazon.co.jp より
おすすめポイント
教師がまさか卒業式当日の教壇にて卒業生に対して祝辞を言うわけではなく、まさかのあらすじにある「告白」を始めるという衝撃的はスタートから本編が始まります。(※ラストも衝撃的)
教師である前に一人の娘の母親としての心情を描きながらも徐々に明かされていく真実に驚き、また復讐者としての禍々しさを見せられる様はある種のホラーであるとも言えます。
映画化もされて比較的話題になった作品でもあるので、もしかしたら学校や街の図書館にもおいてあるのではないでしょうか?ふと思い出した際にでも手に取って読むことができると思いますのでその点でもおすすめです!
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青の炎 著:貴志 祐介
あらすじ
こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。
Amazon.co.jp より
秀一は湘南の高校に通う17歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹の三人暮らし。その平和な生活を乱す闖入者がいた。警察も法律も及ばず話し合いも成立しない相手を秀一は自ら殺害することを決意する。
おすすめポイント
こちらも映画化された作品で主演は二宮和也さん。
主人公は母子家庭で、深夜のコンビニバイトをしている。学業は優秀であり、幽霊部員ながらも美術部に所属しており様々なことに秀でている男子学生なのだが、母と離婚した元父がある日妹しかいない家に押し入り、そこから居座り傍若無人なふるまいをしている。
いつ母や妹に危害がくわえられるかわからない不安や憎しみから、優秀ゆえに完全犯罪として元父を亡き者にしようと犯行計画を立てるわけだが、学生ゆえに家にいる時間には家族の誰かがおり、逆に学校にいる時間に家にいようとするとそれすなわち自分が犯人であると真っ先に疑いがもたれるというわかりやすい状況。そんな状況の中で彼はどのようにしてその男を殺害するのか、またどうやって完全犯罪を成すのか、そしてあらすじの「こんなにもせつない殺人者」とはなんなのかを考えさせられる作品です。
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黄泉がえり 著:梶尾真治
あらすじ
あの人にも黄泉がえってほしい――。
Amazon.co.jp より
熊本で起きた不思議な現象。
老いも若きも、子供も大人も、亡くなった当時そのままの姿で生き返る。
間違いなく本人なのだが、しかしどこか微妙に違和感が。
喜びながらも戸惑う家族、友人。混乱する行政。
そして“黄泉がえった”当の本人もまた新たな悩みを抱え……。
彼らに安息の地はあるのか、迫るカウントダウン。
おすすめポイント
映画と小説では登場人物名が違ったり若干設定が異なります。
近頃私自身が異世界転生物をよく読んでいるのですが、そもそも異世界転生が流行る前は復活する物語が主流だったのではないでしょうか。(※ドラゴンボールやテイルズオブジアビス的な) 今の子からすれば逆に新しい作風と感じるかもしれません。
一度は考えたことがある自分が愛する人、身近な人が亡くなった際に帰ってきてほしいと思う願い。そんな願いがとある地域で起こるという怪奇現象がみられるわけだが、なぜ黄泉がえったのか、そして彼らはこれから自分たちと同じ人生を歩めるのかは謎のまま。
物語が進むにつれ黄泉がえりをした人とその家族や恋人たちの葛藤と覚悟に思わず涙がこぼれる物語です。
個人的には紹介した3作のうちではこれが一番好きなのでオススメです。
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まとめ
漫画の守備範囲は割と違うアの9とまめ。ですが、小説のおススメは2人共「人の命」や「生きる意味」について取り扱った作品をあげてますね。
重たいテーマの方が、感想や考察も書きやすいですし、読書感想文などで読む本に困っている方は是非参考にしてみてください!!